唐沢明様インタビュー『就活の敬語』
さまざまなメディアで活躍され多数の著書をお持ちの唐沢明先生に新書についてのインタビューをさせていただきました。 数多くの大学で就職講座を開講されていて、学生にもその内容が大好評だそうです。 とても楽しい、そしてためになる就職活動と敬語についてのお話をお伺いすることができました!!
●今回の著書である『就活の敬語』はかなり視覚に訴えかけてくる構成になっていると思いますが、内容もさる事ながら活字離れしている世代に敬語についての本を書く上で意識されたことや強調したい部分での表現の仕方の工夫などがあればお教えください。
いつの時代も敬語アレルギーの学生というのは多いのですがその理由としては、家庭でも学校でも職場でも教えてくれないからなのです。 ひとむかし前のアナログ時代であれば全ては人対人であり、例えばアルバイト先で先輩や上司に教えてもらうこともできました。 また、その方々から敬語を実践的に見て学んだり、やり方や使い方を盗んだり、または失敗しておこられる。ということを繰り返すことで敬語は学生時代にも学ぶことができました。 ただ、現在のデジタル時代であり、ほとんどインターネットやメールで事が済んでしまうので、なかなか実践の場がないというのが現状です。ですので、怒られることもなければ、気づく機会もない学ぶ機会もない。 とは言え、どんな時代も敬語は絶対に避けてと通れない必要なものです。分かり易く言えば、茶髪にジーンズでTシャツを着て就職活動はできないですよね。ですので、どのようにして敬語というスーツを着こなすかということがとても重要になるわけです。 ですので、いくら良い大学、成績、経験を持っていても『わたくし』と言わなくてはいけない男子学生が『僕』といった瞬間に敬語カードとしてはアウトになってしまいます。また、面接官世代が敬語を使うことができるアナログ世代なので、そこは相手に合わせていかなくてはいけないですよね。逆に言えば『敬語スーツ』さえ着てしまえばこっちのものということですから、敬語は有利にも不利にも働く重要なものという意味で敬語の本を書かせていただきました。
● 就職関連の著書や敬語関連の著書がベストセラー作品を含めて既にこれだけ発売されている中でさらに『就活の敬語』を書こうと思ったきっかけをお教えください。
敬語の本も就職の本も類書は多いのですが、今までの敬語の本は社会人目線の本がほとんどでした。そもそも、社会人になる前段階で敬語が話せないと内定が取れないにも関わらず、学生向けの敬語の本がどの出版社からも出ていなかったので出版しようと思ったわけです。 最近はどこの企業でも入社後に名刺交換、電話対応、敬語の使い方を一から一人一人に社内で研修をするということはしなくなってきていますので、できない人よりできる人採用したい。それが本音なんですよね。 ですので、オンとオフを大切にして外国語を学ぶような感覚で敬語を習得していって欲しいなと思っています。
● 一般的には社会人でも習得が追いつかない人が多いのが敬語の現状だと思いますが、唐沢さんご自信は具体的にどのように『敬語スーツ』を着こなせるようになったのか教えてください。
例えば、数学の公式にすごく似ていて、公式だけ覚えていても実際に問題が出た時に使えないと意味がないですよね。 なので、これが謙譲語、尊敬語、丁寧語と分かっていても実地で使えなければ結局宝の持ち腐れになってしまいます。結局理論より実践ということで、「恥をかく、汗をかく」というのが一番の近道だったんですよね。具体的には敬語ができる先輩やインターンシップ先方などから習得をする。スポーツと同じで最初はコーチ、監督から教えてもらいインプットをしたものをいかにアウトプットしていくか、ということしかないと思うんですよね。 ただ、今の学生を見ていると『面接が怖い⇒敬語使えないから⇒失敗したことがないから』 という方が多いのですが、ということは裏を返せば、たくさん失敗して学んでいくのが大事ということです。
● マスコミ就職の一番の特徴や相違点は?(他の企業や業種と比べて)
出版社で働いていたのがきっかけでそのライフワークとして執筆活動をしておりそれを通して幅が広がっていき自分の専門分野を活かしている。また、マスコミ業界での仕事のやりがいを感じているので、もし後輩や受験したい人がいれば背中を押してあげたいという思いからです。 試験の流れが速いのがマスコミ業界です。 マスコミ業界のエントリーシート、面接が一番早のでマスコミ対策をしておけば一般企業にも応用が利くということです。マスコミは倍率が高いのと時期が早いのが特徴です。私のマスコミ講座は早い人で1年生から取って生徒がいます。ハイレベルの対策をしているので、その他の企業に対しても早めに準備を始めている分、有利に働くということがいえると思います。
● 大学生と接する際に心がけている点と一番伝えたいことは?
成功談だけではなく失敗談も話すようにしています。教える側がパーフェクトなイメージだと学生と講師の間に距離感ができてしまうので。いつも言っているのが「私が大丈夫だったから君たちも大丈夫だよ」ということを伝えていますね。上から目線ではなく、横からもしくは下から目線で話すようにこころがけています。 また、メッセージとしては、理論より実践ということで場数を踏んでいくことが大事だと思います。 また、就職活動を嫌々やっていると内定は取れないということです。 就職活動は『MustではなくWant』でして欲しいですし、旅行のように楽しんでやってもらいたいですね。そして、わたしはその添乗員でありナビゲーターのような存在だと思っています。 ですので、大学受験で失敗した人で、自分が敗者だと思っている人でも就職活動で逆転できる機会もありますし、どんなに良い大学を出ても、就職活動で勝たなければやりがいや生きがいというものにはつながらないということになりますので、就職活動というのは実は人生の位置付けにおいて大変大事なことなんです。
ただ、世間一般に言われている就職活動というものは「不況」・「氷河期」・「大変」・「つらい」というものなんですね。 確かに、現在の就職活動は逆風ではあるのですが、そこを何とか旅行するかのように楽しんでもらいたいと思っています。楽しめるように持って行ってあげるのが我々の仕事だと思っています。ただ、どのようにして、このつらいイメージのある就職活動を楽しんでやるかといいますと、それは考え方一つだと思います。大学受験とは違って受験料無しで好きな会社をいくつでも無料で回れる。また、もちろん内定がゴールではないのですが、認められた時の喜びは非常に大きいと思います。また、出会いも多いと思います。色々な会社の人と出会えますし、他大学の人や更に、新しい自分に出会えるということが大きいと思います。大学の数よりも企業の数の方がずっと多いわけですので、ご縁はどこに落ちているか分からない、まさにお見合いのようなものということですね。
ですので、「見られている」、「選ばれている」という受身の意識ではなくて、選ばれる側でもあり選ぶ側でもある。ということを覚えて欲しいと思います。 皆が同じ履歴書、エントリーシートなので、採用側からすると幕の内弁当や金太郎飴のようになっています。ですので、自分なりの質問でいいですから会社を取材するつもりで質問のキャッチボールをすることが大切です。その中できらりと光る個性を出せると一人勝ちするのではないかと思います。会社は学生が受身で(仕方なくやっている雰囲気で)就職活動をしているのかどうか見ていますので、正しい敬語を使って積極的に自分の個性や素を出していくのか就職活動だと思います。
『就活の敬語』
~就職活動中の学生のための敬語の書籍~
当書籍ではOBOG訪問や面接で直接話す場面やエントリーシートや履歴書、メールを送信する時など、あらゆるシチュエーションに応じた正しい敬語の使い方を厳選掲載しています。
出版社: 日本能率協会マネジメントセンター
著者:唐沢明
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